まず、私たちが着目するのは見込み顧客の発想です。すでに自社の課題を認識し、解決策を探している企業のご担当者様は、具体的なキーワードで検索を行うはずです。BtoBにおいて、ゼロから潜在的なニーズを掘り起こすのは非常に難しく、時間もコストもかかります。それよりも、積極的に解決策を求めている顕在層に、自社サイトへ確実に訪問してもらうためのアプローチを計画する方が、成果に繋がりやすいと考えます。そのための最初の重要なステップが、顕在層が検索に使うであろう「キーワード」の厳選です。彼らがどのような言葉で、自社の製品やサービスにたどり着くのかを深く掘り下げ、サイトへ適切なターゲットを迎え入れるための明確な入口を設計します。

狙うべきSEOキーワードが定まったら、次に考えたいのが、サイトを訪れた顕在層・見込み顧客が、スムーズに必要な情報にたどり着けるか、そして最短で問い合わせへと誘導できるか、という「情報設計」です。キーワードから想定されるユーザーの行動パターンを長年のBtoB WEB制作の経験値で読み取り、「このキーワードで来た方ならこの情報をこのタイミングで欲しいはずだ」という仮説を立てます。その仮説に基づき、サイト全体の構造や、関連ページ間の繋がりを設計していきます。ユーザーが迷うことなく、求めている情報に最短で到達できるような、シンプルかつスマートなサイト構造を構築することが、問い合わせ率の向上に不可欠なのです。潜在層へは幅広いアピールはせずにあえて絞り込み、重視する「顕在層」にとって最適な情報経路をデザインします。

ユーザー導線の設計・サイトマップが固まったら、いよいよサイトの「中身」、つまり掲載する情報の収集に取り掛かります。社内に分散している製品資料、技術情報、事例、ホワイトペーパーといった情報資産を漏れなく集めます。そして、この段階で非常に重要になるのが、集まった情報の中から、ターゲットである顕在層のニーズに合致し、コンバージョン（問い合わせ）に繋がるために「何を」「どこまで」掲載すべきかを取捨選択し、テキストとして整理する作業です。

潜在層に向けた網羅的な情報提供よりも、顕在層が注目したくなる他社と差別化された情報を過不足なく、分かりやすく提示することに特化します。情報をシンプルに絞り込むことで、訪問者は混乱なく、自身の課題解決に繋がる情報に集中できます。

テキストコンテンツの方向性が定まってきたら、サイト全体の見た目を司るデザインフォーマットの設計フェーズへと移行します。BtoBサイトは、製品やサービスの数、詳細情報の量などから、最終的に1000ページを超える規模になることも珍しくありません。そのため、全てのページを個別にデザインするのではなく、どんな内容のページにも柔軟に対応でき、将来的なコンテンツ増加にも耐えうる「デザインフォーマット」の設計に注力します。シンプルで洗練されたフォーマットは、情報の分かりやすさを向上させるだけでなく、制作効率を高めCMS化しやすい。運用後の更新コスト削減にも寄与するのです。お客様とプロトタイプを何度も共有し、「キャッチボール」を繰り返しながら、最適なフォーマットを共に作り上げていきます。

デザインフォーマットが完成したら、いよいよ各ページの具体的な制作、いわゆる「量産フェーズ」についに移行します。一枚のページに全ての熱量を詰め込むランディングページや、数ページで完結するスペシャルサイトとは異なり、数百ページ規模になり得るBtoBサイトでは、全てのページを同じ時間をかけて作り込むのは現実的ではありません。情報設計とデザインフォーマットがしっかりしていれば、ユーザーが必要とする情報が掲載された3ページ程度を見てもらえれば、次の行動（問い合わせ）に繋がるという割り切りも重要です。初期段階では、主要な製品・サービスページや事例ページなど、顕在層のコンバージョンに直結しやすいページを中心に、割り切ってスピーディーに作り切ることを重視します。全てのページを細かく丁寧に対応していたら、制作期間とコストが膨らんでしまい、ビジネスの機会損失に繋がってしまうことの方が問題であると当社は考えます。

サイトは公開して終わりではありません。BtoBサイトの真価は、顕在層の見込み顧客から「角度の高い問い合わせ」を獲得し、その情報を適切な部門の営業チームにスムーズに引き継ぐところにあります。サイトのデザインがどれだけ美しくても、問い合わせフォームの設計が不適切だったり、問い合わせ後の社内での情報連携が滞ったりしてしまっては、せっかく獲得したリードを逃してしまいます。サイト公開前に、問い合わせフォームからの情報の流れ、営業部門への連携体制など、リードを確実にビジネスに繋げるための社内フローが整っているかを全社を挙げて最終確認していただきます。

これらの６つのステップを踏むことで、私たちは単に見た目が良いだけのWebサイトではなく、顕在層の見込み顧客を効率的に獲得し、ビジネスの成果に貢献できるBtoBサイトを実現してきました。

WEBサイト公開後もアクセスデータを分析し、ユーザーの行動から「穴」を見つけて改善を続けることで、さらに洗練された集客ツールへと「育てていく」ことが、BtoBサイト制作の真の成功と言えるのです。