ユーザーのニーズと行動を深く理解した効果的なWEBサイトを作ることができれば、ユーザーに使いやすいWEBサイトが制作できます。ここで、注目を集めているのが「デザインリサーチ」という方法です。
デザインリサーチは、従来の市場調査とは異なり、ユーザーの行動や感情を丁寧に観察し、表面化していないニーズを掘り起こす手法として知られています。
具体的には、アンケートやインタビュー、実際の使用シーンの観察など、多角的なアプローチを組み合わせて実施します。デザインリサーチを効果的に活用することで、革新的なUI/UXデザインやサービス改善が可能となり、結果として、クライアントのビジネスの競争力強化につながります。
本記事では、デザインリサーチの基礎から具体的な実践方法まで、分かりやすく解説していきます。
目次
デザインリサーチってとは?
「デザインリサーチ」は、製品やサービスを作る時に、使う人の気持ちや行動をしっかり理解するための調査活動です。デザイン思考という考え方の中で重要な役割を果たしていて、人々の本当の体験や感情、隠れたニーズを探り出すために、質的・量的な方法を使います。目指すのは、ただ問題を解決するだけではなく、使う人にとって本当に価値のある、革新的な解決策を生み出すこと。そのための調査になります。この調査で得た気づきは、WEB制作において、ユーザーのニーズや行動を理解した効果的なサイト設計につながります。
デザインリサーチの大切さ
デザインリサーチは、ユーザー中心のデザインを行う上で欠かせないものです。その役割は幅広いですが、ここでは3点に絞って重要なポイントをまとめました。
ユーザーの本当のニーズがわかる
デザインリサーチを通して、開発者やデザイナーは使う人の本当の要望を深く理解していきます。単なるアンケートでは見えてこない、潜在的な欲求や行動パターンが明らかになるからです。例えば、人々の日常生活を細かく調査することで、一般的には気づかれていない不便さや改善点を、発見できることもあります。
また、使う人の感情や価値観を理解することで、機能的な改善だけでなく、心にも響くサービスを設計することができます。これにより、ユーザーとの深いつながりを生み出し、長期的な顧客満足度の向上につなげることができます。
今あるものの問題点を見つけて改善できる
デザインリサーチは、既存のシステムや製品の問題点をはっきりさせ、効果的な改善策を見つけるのに役立ちます。実際に人々が製品を使う様子を観察したり、話を聞いたりすることで、直接的な困難や不満を記録することで、課題点が明らかになるからです。
これにより、開発者やデザイナーは、使う人の視点から見た本当の問題点を理解し、優先順位をつけて改善に取り組めます。例えば、あるウェブサイトの特定のページで人々が迷っていることがわかれば、そのページの案内方法を見直すといった具体的な改善策を立てられます。
新しいアイデアを生み出すきっかけになる
デザインリサーチを行っていく中で、アイデアが浮かんでくることがあります。人々の行動や環境をじっくり観察することで、これまで気づかれていなかった可能性を見つけやすくなるからです。違う分野や文化からヒントを得ることで、今までにない斬新なアイデアを生み出すこともできます。デザインリサーチによって、創造的な問題解決を促し、ビジネスに新たな価値をもたらすことがあります。
デザインリサーチの具体的な進め方
デザインリサーチは、段階を踏んで進めていくと、わかりやすく丁寧に取り組むことができます。これから、一般的な手順を紹介していきます。
問題を定義するための情報集め
まずは、プロジェクトの目的や背景を理解するために、関係者から情報を集めます。この段階では、既にあるデータや市場調査のレポートなども参考にします。目的は、研究の方向性を決めて、適切な調査方法を選ぶことです。
問題をはっきりさせる
集めた情報をもとに、取り組むべき具体的な問題や課題をはっきりさせます。どの問題に取り組むことが良いかについて、多角的な視点で、判断をしてきます。そもそも、この問題の根本にある原因は何か、など、構造的にしっかり整理を行い、問題の重要度もつけると、次のアクションの導線が引きやすくなります。
気づきを得る
取り組むべき問題を明らかにした上で、ユーザーリサーチを行い、得られたデータを分析して気づき(インサイト)を得ます。ここでは、使う人の行動パターン、ニーズ、価値観などを深く理解することが大切です。例えば、インタビューのデータを整理して、共通のテーマや傾向を見つけるといった作業をします。
提供できる価値を考えてアイデアにする
見つけた気づきをもとに、ユーザーに提供できる価値を考え、具体的なアイデアを出します。この段階では、ブレインストーミングなどの創造的な方法を使って、できるだけたくさんのアイデアを出し合います。その後、実現できそうか、効果はあるかを考えながら、取り組むべき問題に対して、最も有望なアイデアを選びます。
アイデアをもとに試作品を作って確かめる
選んだアイデアをもとに、試作品を作ります。簡単なデザイン案やラフを作りながら、作っていきます。試作品を実際にユーザーに試してもらい、感想などのヒアリングを行います。ヒアリング結果もとに、さらに改良していきます。このプロセスを繰り返すことで、試作品をブラッシュアップしていきます。
デザインリサーチでよく使われる方法
デザインリサーチでは、目的に応じていろいろな方法を使い分けます。ここでは、代表的な方法を4つ紹介します。
ユーザーインタビュー/アンケート
ユーザーインタビューは、実際に使う人と直接話をすることで、深い理解を得る質的な調査方法です。ある程度決めた質問に加えて、状況に応じて柔軟に質問を追加していく半構造化インタビューがよく使われます。一方、アンケートは多くの人から数字で表せるデータを集めるのに適しています。最近は、オンラインのGoogleフォームというツールを使って、効率よく調査をしている場合も多いです。
ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストは、実際にユーザーに製品や試作品を使ってもらい、その様子を観察する方法です。ユーザーに特定の課題を与え、それをこなす様子を記録して分析します。これにより、使いにくい点や改善すべきところを見つけられます。「考えていることを声に出してください」と頼む方法(Think Aloud法)を一緒に使うと、より詳しい情報が得られます。
エキスパートレビュー
エキスパートレビューは、使いやすさの専門家が製品やインターフェースを評価する方法です。ヒューリスティック評価とも呼ばれ、一連の設計原則(ヒューリスティクス)に基づいて問題点を洗い出します。この方法は、開発の早い段階で潜在的な問題を見つけるのに役立ち、コストパフォーマンスが高いという特徴があります。
デスクリサーチ
デスクリサーチは、既にある情報源を活用して調査を行う方法です。学術論文、市場調査レポート、競合分析、ウェブ上の情報など、いろいろな情報源から関連データを集めて分析します。この方法は、プロジェクトの背景を理解したり、より詳しい調査の方向性を決めたりするのに役立ちます。また、直接データを集める前に行うことで、効率的な調査計画を立てられます。
デザインリサーチとマーケティングリサーチの違い
デザインリサーチとマーケティングリサーチは、どちらもユーザーや市場に関する情報を集める点では似ていますが、その目的や方法には大切な違いがあります。
マーケティングリサーチの主な目的は、市場の動き、顧客の分類、競合状況などを分析して、サービスの販売戦略や市場での位置づけを決めることです。主に、数字で表せるデータを重視し、大規模なサンプルを使った統計的な分析方法が多いです。
一方、デザインリサーチは、ユーザーの深い部分のニーズや行動パターンを理解して、より良いサービスをデザインすることに焦点を当てています。質的な方法をたくさん使い、少数のユーザーをじっくり観察・分析することで、新しい気づきを得ることを大切にします。
以上をふまえると、本記事の中心である「デザインリサーチ」は、マーケティングリサーチよりも未来の目を向けた方法だと言えます。マーケティングリサーチが、今ある市場や製品カテゴリーでの顧客の好みを調べるのに対し、デザインリサーチは未来の可能性や潜在的なニーズを探ることに重点を置いているからです。そのため、より新しいアイデアやコンセプトを生み出したり、制作物自体をより向上させたりする可能性をもつ効果的な手法と言われています。
マーカーネットならデザインリサーチの手法を使ったWEBページ制作ができる
マーカーネットでは、デザインリサーチの手法を活用したWEBページ制作サービスを提供しています。このアプローチを使って、見た目が綺麗なだけでなく、本当にユーザーのニーズに応えるWEBサイトを作りを目指しています。
デザインリサーチを基にしたアプローチを使うことで、ユーザーの期待に応え、クライアントのビジネスの期待に寄り添う効果的なWEB制作につながります。
まとめ:デザインリサーチの流れを理解してビジネスに役立てよう
デザインリサーチは、ユーザー中心のデザインを行う上で欠かせません。丁寧に行っていくことで、使う人のニーズを深く理解したWEBサイトを作ることができます。
デザインリサーチの基本的な流れは、問題を定義し、情報を集め、気づきを得て、アイデアを出し、試作品を作って確かめること。この過程で、ユーザーインタビュー、使いやすさのテスト、専門家による評価、既存の情報を調べるなど、いろいろな方法を組み合わせて使います。
大切なのは、デザインリサーチを単なる調査活動として捉えるのではなく、ビジネス戦略と密接に結びつけることです。WEBサイトを作る上でも、ユーザーの本当のニーズを理解し、それに基づいて設計することで、市場での競争力を高めていくことが求められています。